Eurasian Woodcock
Scolopax rusticola
標本情報
個体No.1
回収時の状況
食痕
採取地
神奈川県相模原市緑区
測定値[mm]
初列風切:116(P1) – 145(P9)
次列風切:108(S12) – 113(S2)
三列風切:74(Te6) – 99(Te1)
尾羽:84(T6) – 96(T1)
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日本には広く分布している様なのですが、なかなか出会う事のないジシギ、ヤマシギです。
出会えない理由は大きく分けて2つでしょう。
1つ目は、夜行性であるという事。昼に全く活動しない訳では無いようですが、やはり主な行動時間帯は夜のようです。
2つ目は、見事な迷彩柄の羽衣が挙げられます。昼に活動したとしても、主な活動域である林床や河畔、農地などの背景に見事に溶け込んでしまい、発見が難しい事にあると思います。
さて、羽標本を見てみましょう。
風切のは茶色が主色で、その上に羽弁に赤茶の縞模様がギザギザに入る事で、その見事な隠蔽色を形成しています。
羽弁の長さはヒヨドリと大差ありませんが、羽柄(羽軸の下の部分)は固くて太く長く、しっかりしています。また、羽弁も広いですね。
ヤマシギは狩猟対象にもなっている鳥なので、肉量が多くて体重が比較的重いです(ヒヨドリ:80g位、ヤマシギ:330g位)。実にヒヨドリの4倍もの体重です。
この頑丈な風切のお陰で、丸々と太った体を空に飛ばす事ができるのでしょう。
ヤマシギの羽で面白いのは風切だけではありません。尾羽を見てみましょう。
尾羽は全体的に焦げ茶色ですが、先端がビロードの様な灰褐色になっています。
更に、この先端の裏を見てみると、実はとっても綺麗に輝く白銀色なのです。
この事について、原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版では、
尾羽の先端は(中略)見事な銀白色に光る。おそらく、暗い中での種間への合図などに役立っているのだろう。
科学的な検証がされている記載では無さそうですが、隠遁生活な彼等でも、実はこんなに綺麗な尾羽を使ってコミュニケーションしていると思うと、なんだか素敵ですね。
本ページのヤマシギの生体写真は、私が大変お世話になっている、はだの野鳥の会の会長、八木 茂さんにお借りしました。
ヤマシギはその姿をみる事が難しく、見られたとしても草むらに隠れたりしていて、良い写真を撮る事は困難です。
八木さん、貴重な写真をお貸し頂き本当にありがとうございました。
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参考ページ
参考文献
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
- 山渓ハンディ図鑑7 新版日本の野鳥、叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄、山と渓谷社
- フィールド図鑑 日本の野鳥 第2版、水谷高英、文一総合出版
- 原色日本野鳥生態図鑑 水鳥編、中村雅彦・中村登流、保育社
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