Eurasian Sparrowhawk
Accipiter nisus
標本情報
個体No.1(メス)
回収時の状況
食痕
採取地
神奈川県秦野市
測定値[mm]
初列風切:-
次列風切:-
三列風切:-
尾羽:197 – 202
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オオタカと並んで、身近に見られるタカのハイタカです。
大きさは鳩サイズでオオタカよりも小さいのですが、飛んでる姿が殆どなので両者の識別は結構難しいです。
さて、羽標本を見てみましょう。
この標本は尾羽だけがちぎられた食痕のようで、一部の羽柄が欠損しています。
また、理由は分かりませんが、一部変色している所があります。
表面は、茶色と褐色の縞模様で、この模様が一般に鷹斑(たかふ)と呼ばれています。
裏面では、褐色だった方の太い帯が灰色となります。茶色の方はさして変わらないので、裏面の方がコントラストが一層強くなります。
この鷹斑はタカを象徴する模様ですよね。飛翔時にも良く目に付きます。
さて、この標本はメスのものと判断していますが、その判断の根拠となっているのは、尾羽の長さなのです。
ハイタカの仲間(ツミ、ハイタカ、オオタカ)は雌雄で体の大きさが結構違います。
メスの方が大きいのです。
原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版では、尾羽の長さ
オス:165mm
メス:190mm
となっています。
約15%も長さが違う事になりますね。(とは言え個体差に注意!)
この標本の尾羽で羽軸が無事なものを計測すると、197mmから202mmですので、メスと判断しました。
手元に1枚だけ、オオタカ(オス)の尾羽があるので比べてみましょう。
一見すると似たような羽ですが、並べてみると違いは一目瞭然です。
長さはオオタカの方が30mm程長く、230mmありました。
幅もオオタカの方が広くて、ずんぐりとした印象ですね。
模様にも違いがあります。
帯の境目の模様が、ハイタカの方は真っ直ぐで明瞭。オオタカはギザギザで不明瞭です。
裏面を見ると茶色の帯の部分が羽軸にも及んでいるのは、共通する特徴です。
ちなみに、今回は紹介していないサシバの尾羽の場合、羽軸は全て白色、もしくは茶色の部分が少ないようです。(実物が手元に無く、確認できていません。)
似たようなハイタカ属の、ツミ、ハイタカ、オオタカの尾羽の長さは、一般に以下の順番になります。
ツミ(オス)<ツミ(メス)<ハイタカ(オス)<ハイタカ(メス)<オオタカ(オス)<オオタカ(メス)
全て揃えて、比較写真を公開したいです。
ハイタカ属の尾羽の識別については、BIRDER 320号(2013.9)に更に詳しく記載されていてお勧めです。
更にタカの見分けをもっと知りたい方は、次の2冊の図鑑がすごくお勧めです。
↓こちらは飛翔写真を主に取り扱った図鑑。タカ類は飛翔中を観察する機会が多いので、とても使用頻度が高いです。
↓もう一つはこちら。こちらは飛翔だけでなく木や地面に止まった姿なども沢山掲載あり。一種にかけている写真の量は多めです。
タカ類は個体数自体が少ないので、羽を拾うチャンスは少ないですね。この標本の様な纏まった食痕となると尚更です。
とは言え、換羽の時期(初夏から秋)であれば、抜け落ちた羽を拾う事はあると思います。
幸運にもタカの羽を拾った暁には、模様に加えて長さもヒントに加えて同定をしてみてください。
羽のバックヤードは手軽なweb羽図鑑になれる様、日々活動しています。
質問やご意見ございましたら、ページ下部のコメント欄か、TwitterのDMからお気軽にどうぞ♪
参考ページ
参考文献
- BIRDER 320号(2013.9)極める!!ハイタカ属、特集、文一総合出版
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
- 山渓ハンディ図鑑7 新版日本の野鳥、叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄、山と渓谷社
- フィールド図鑑 日本の野鳥 第2版、水谷高英、文一総合出版
当サイトの参考文献一覧はこちらからどうぞ。
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