Copper Pheasant
Syrmaticus soemmerringii
標本情報
個体No.1
回収時の状況
食痕
採取地
神奈川県相模原市緑区
測定値[mm]
初列風切:140(P10) – 180(P6)
次列風切:100(S10) – 142(S1)
三列風切:115(Te1)
尾羽:132(T9) – 664(T1)
省略記号と羽の順番
ヤマドリについて(簡単に)
ヤマドリはキジの仲間で深山に生息する鳥です。
管理人の地元、伊勢原市ではこのヤマドリが市の鳥になっています。
道路に目を落とすと、マンホールにその姿が描かれている事に気付きます。
しかし、伊勢原市に住んでいても鳥見でヤマドリを見る事は簡単ではありません。
何せ山深い所まで入らないとみられない鳥です。
私は山仕事を始めて毎日山に入る様になり、ようやくその目で見られました。
仕事現場で #ヤマドリ と遭遇。
念願の初見です!
ババババッと勇ましい羽音を何度も聴かせてくれましたよ。双眼鏡でじっくり見たかったな〜。
1枚目は証拠にもならない証拠写真。
2枚目は現場写真。#林業 始めて良かった〜☺️↓ヤマドリの羽標本はこちらhttps://t.co/sFdOirnQz0 pic.twitter.com/atNVxBuEzm
— 今泉ゆうじ@イマジサwebログ / SKG 羽のバックヤード (@SkgFeather) January 26, 2021
羽標本の観察
それでは羽標本を見ていきましょう。
尾羽
ヤマドリの羽で特筆すべきは、ものすごく長い尾羽でしょう。
中央尾羽は66cmもありました。この長さ、ちょうど私の腕の長さと同じでした。
ヤマドリにはそんなに長い尾羽がついています。
羽標本はA3の台紙に貼っていますが、全く収まりませんので写真撮影時は台紙を足しました。
「山渓ハンディ図鑑7 新版日本の野鳥」によると、オスの体長は125cmとあります。
つまり、ヤマドリの体のだいたい半分は尾羽だという事になります。
尾羽の比較
同じキジ目の仲間、キジと尾羽の比較をしてみました。
詳細な長さについては、部位が揃っていないので参考程度ですが、それでもヤマドリは圧倒的に長い事が分かります。
ちなみにキジの羽標本はこちらです。
風切の比較
尾羽に続いて、もう一つ面白いのは風切です。
尾羽があんなに長いのに風切はそうでもありません。
初列風切は18cmでドバトと同じ位です。
しかし形状は同じではありません。
ヤマドリの初列風切はカーブがきつく、とても立体的な羽です。
ヤマドリやキジはニワトリと同じような体格をしていて、一見すると殆ど飛べなそうに見えますが、実はそうではありません。
外敵が近づいたときなどは、驚くほど素早く遠くに飛んでいってしまいます。
このきついカーブのついた風切が、その大きな体を飛ばす爆発的な推進力を生むのかと思います。
羽の模様
模様は各部で違っていて実に多彩です。
縞模様やまだら模様、三日月型の班など、多彩なパターンで体中の各部を着飾っています。
ヤマドリの亜種
ヤマドリは日本に5亜種が生息しています。
- 亜種ヤマドリ(近畿地方以北)
- 亜種ウスアカヤマドリ(関東以南)
- 亜種シコクヤマドリ(中国四国地方)
- 亜種アカヤマドリ(九州北部、中部)
- 亜種コシジロヤマドリ(九州南部)
No.1の個体は神奈川県で拾われたので、亜種ヤマドリか亜種ウスアカヤマドリの可能性が高いです。
亜種の見分けに強い、「♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670 第3版」で確認すると、どうやらこの尾羽は亜種ヤマドリのようです。
亜種ウスアカヤマドリのような赤みはありませんので。
細切れレビューその1です。
普通は言葉で書かれる様な亜種の相違点が、写真で載っていてとっても分かりやすい!
所有の尾羽は、亜種ヤマドリで確定でーす。
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脱線しますが、この図鑑は亜種だけで無く、雌雄、成鳥と幼鳥との識別などにとても力が入っています。
もちろんワシ・タカ等、近縁種との比較も多数掲載されています。
識別点が写真で示されているので、はっきりしない種でも、比較的容易に分かるようになります。
普通種がとりあえず分かるようになったバーダーが次のステップに行く図鑑として、凄くお勧めです。
今回の公開にあたって、貴重なヤマドリの生体写真は私が大変お世話になっている、はだの野鳥の会の会長、八木 茂さんにお借りしました。八木さん本当にありがとうございます。
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