Eastern Spot-billed Duck
Anas zonorhyncha
標本情報
個体No.1
回収時の状況
食痕
採取地
神奈川県秦野市
測定値[mm]
初列風切:145(P1) – 222(P9)
次列風切:130(S3) – 133(S1)
三列風切:-
尾羽:-
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日本では一年を通して見られる、お馴染みのカモ、カルガモです。
カモ類としては珍しく、国内で普通に繁殖しているので、子育て姿をメディアで目にする事もよくあります。
さて、羽標本を見てみましょう。
うーん、褐色の羽衣そのままで、一見すると地味な羽ですね。
しかし、そんな事無いですよ。次列風切を良く見てみましょう。
外弁(がいべん)が構造色となってきらきら光っていますよね。
この次列風切を、角度や光の強さを変えて写真を撮りました。
そうすると、青にも緑にも変化していくのです。
本当に不思議ですねー。
写真では光による構造色の変化が分かりづらいので、動画にもしてみました。
この次列風切は、ここに生えていますよ。
カモ類に見られる、翼鏡(よくきょう)と呼ばれる、翼の輝く部分だったのですね。輝く外弁が何枚も重なる事で、翼の或る一面の様に見える翼鏡を形作っていたのです。
この翼鏡にも増して管理人のお気に入りの羽は、これです。
一番外の初列風切(P10)です。
どうですか?見事な楔形で格好良く無いですか?
外弁は一様に極限まで細く、内弁はふっくらとしたカーブを描き、先端に向けて急激に尖る。
この風切で、カモ特有のヒュンヒュンという風切音を立てているのかと想像すると、見ていて飽きません。
先ほどの写真ですと、このP10を始めとした初列風切はここに生えています。
この標本個体とは違いますが、手元にカルガモの尾羽がありますので、風切と比較してみましょう。
カモ類は風切が長い割に、尾羽は短いですね。
飛翔中の様子を見ると、この短い尾羽が重なって板の様になっている事がわかります。
カルガモって、翼は立派なんですけど、尾羽はミニスカートの様に申し訳程度しかなくて、なんだか可愛らしいですね。
ついでに、初列風切、次列風切、三列風切も図示してみました。
各風切の境目がなんとなくお分かり頂けるかと思います。
実はこのカルガモの標本は、管理人が翼の一部を拾ったものです。拾った時は土汚れと、たかったアリンコが酷くて持ち帰るのを一瞬躊躇しましたが、立派な羽標本になって感無量です。
羽標本になるまでの話は、以下の記事でレポートしていますのでご覧ください。
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参考ページ
参考文献
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
- 山渓ハンディ図鑑7 新版日本の野鳥、叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄、山と渓谷社
- フィールド図鑑 日本の野鳥 第2版、水谷高英、文一総合出版
当サイトの参考文献一覧はこちらからどうぞ。
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