Scaly Thrush
Zoothera dauma
標本情報
個体No.1
回収時の状況
食痕
採取地
不明だが神奈川県近辺と推定
測定値[mm]
初列風切:106(P1) – 139(P7)
次列風切:83(S6) – 100(S1)
三列風切:68(Te2)
尾羽:116(T3) – 118(T6)
個体No.2
回収時の状況
食痕
採取地
神奈川県相模原市緑区
測定値[mm]
初列風切:-
次列風切:-
三列風切:-
尾羽:-
※羽軸欠損の為未計測
コメント
丸々とした体と大きなお目目が可愛らしいトラツグミです。
地上の餌を見つける為に、お尻をふりふりする「トラツグミダンス」が有名ですね。
神奈川県の平地では冬鳥で、落ち葉の敷き詰められた森で見かける事があります。
夏の山林で羽を拾った事があるので、夏は涼しめの山の方に移動しているのかもしれません。
さて、羽標本を見てみましょう。
風切と尾羽の先端には褐色の斑がわずかに入っています。
そして、風切には内弁(ないべん)の下側に白い斑が入っているのが目立ちますね。
この白色斑が連続的に連なり、一本の帯になるものと思われます。
再現してみましょう。
あれ、なんだかちょっと想像と違いますね。
そう、白斑が入っているのは内弁。内弁は表(翼上面)から見ると羽の重なりで隠れてしまいます。
裏(翼下面)から見てみましょう。
白い帯、翼帯(よくたい)が確認できましたね。
このように、内弁の模様は翼の下面に反映されます。反対に外弁の模様は翼の上面に反映されるのです。
尚、本物の翼は↓こちら(図鑑.jp:新谷亮太さんの連載)で確認できますので、比べてみてください。
トラツグミといえば、その虎柄が気になるわけですが、羽の1枚1枚は虎柄ではありませんね。
そこで、体羽に目を移すと、先端が黒い三日月模様になっている事が分かります。
これが重なりあって独特な虎柄の羽衣を形成している訳なのです。
蛇足ですが、以前SKG(しろやま自然観察グループ)のワークショップで、このトラツグミの羽を使って翼を再現するというイベントをやりました。
答えの見えない超難易度の高いパズルなのですが、羽に触れてじっくり観察する機会はなかなか無いので、参加者のみなさんには大好評でした。またいつの日か開催したいものです。
羽のバックヤードは手軽なweb羽図鑑になれる様、日々活動しています。
質問やご意見ございましたら、ページ下部のコメント欄からお気軽にどうぞ♪
参考ページ
参考文献
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
- 山渓ハンディ図鑑7 新版日本の野鳥、叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄、山と渓谷社
- フィールド図鑑 日本の野鳥 第2版、水谷高英、文一総合出版
当サイトの参考文献一覧はこちらからどうぞ。
コメント