【羽標本】フクロウ

フクロウ

Ural Owl

Strix uralensis

標本情報

個体No.1

回収時の状況

死体回収(ロードキル)

採取地

秋田県藤里町

測定値[mm]

初列風切:175(P10) – 295(P6)
次列風切:185(S11) – 220(S1)
三列風切:- (換羽中の為未掲載)
尾羽:210(T6) – 255(T1)

 

省略記号と羽の順番

標本に記載している省略記号と羽の順番については、こちらからどうぞ。

省略記号
当サイトで採用している、羽の省略記号について説明をしています。
羽の順番
当サイトで採用している、羽の順番の数え方について説明しています。

 

フクロウについて(簡単に)

夜の鳥の代表選手といえばフクロウ類。

フクロウ類の中でも最も身近なのがフクロウです。

フクロウ

 

フクロウは留鳥で、里山に近い平地や山地で見られます。

もっとも「見られる」のは稀で、もっぱら声を聞くというのが多いかと思います。

春から初夏にかけて、夕暮れ時から「ホッホー、ゴロスケホッホー」と鳴き始めます。

フクロウの声が響き渡る里山

フクロウの声が響き渡る里山

 

他に似た声も無いので、存在を知るという意味では夕暮れ時が分かりやすいです。

 

逆に昼は森でひっそりと休んでいるので、見つけるのは至難の技。

フクロウ

こんな状態で見つけるのは無理というものです。

 

羽標本の観察

それでは羽標本を見ていきましょう。

初列風切

 

 

フクロウ類の羽は特徴があって、羽弁の表面がふわふわと毛羽立っています。

触るととっても手触りが良いんです。

フクロウの毛羽立ったふわふわの羽

 

また、初列風切の外弁の縁がギザギザしています。

これはセレーションという特徴で、外側の初列風切(P8〜P10の辺り)ではっきりと確認する事ができます。

フクロウのセレーション拡大

 

フクロウは夜行性。

同じく夜行性の哺乳類、ネズミなどを捕食するのですが、静まりかえった森でバサバサと音を立てて飛んでいては、狩りは成功しません。

フクロウは音を立てずに飛ぶための進化として、このふわふわの羽とセレーションを手に入れたのです。

 

まず、羽がふわふわしていると羽ばたいたときに翼がこすれる音を軽減する事ができます。

 

そして、セレーションは翼が空気を切り裂く時に小さな渦を作って、音をかき消しています。

 

実際に夕暮れ時にフクロウが自分の目の前を通り過ぎるのを見た事があります。

フクロウはカモぐらいの大きな鳥ですが、バサバサという羽ばたき音をほとんど感じさせず、とても不思議に思ったのを覚えています。

夕暮れ時に飛ぶフクロウ

夕暮れ時に飛ぶフクロウ

 

 

羽の模様

羽の模様は縞々が無数に重なった迷彩柄です。

次列風切、三列風切(換羽中)

 

樹木の木肌に似ているので、動かなければなかなか気づかないんじゃ無いでしょうか。

 

尾羽

尾羽はちょっと面白いです。

中央尾羽(T1)だけ何故か明らかに模様が違うんです。

フクロウの尾羽

風切も尾羽も基本的に似たような縞模様ですが、中央尾羽だけはモザイク柄といった方が良いかもしれません。

単体で中央尾羽を拾った時は要注意です。

 

 

 

フクロウ類に関するうんちくは、こちらの本が参考になります。

子供向けで優しく書かれてありますが、内容はフクロウ類の生態や種による特徴など、幅広いです。

鳥好きの大人でも知らないうんちくが満載でお勧めです。

 

 

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生体写真について

今回もフクロウの生体写真は、私の所属するはだの野鳥の会の会長、八木茂さんにお借りしました。

フクロウは声を聞くことは出来ても、姿を見るのは難しい鳥。

写真に収めるのはもっと大変かと思います。

貴重な写真を快くお貸し頂きありがとうございました。

はだの野鳥の会
創立40年の「はだの野鳥の会」と活動内容を紹介します。秦野の野鳥100種を選定しました。
相州食文化研究ー秦野のかりんとう 秦野の野鳥
秦野の農家で古くから作られてきた特徴有る「かりんとう」(秦野かりんとう)の食文化のルーツを探る活動と、 百名山単独登山や単独百名山登頂記録、丹沢登山、百名山の鳥、丹沢の鳥、秦野の野鳥を中心とした山と自然の活動記録です。

 

参考文献

当サイトの参考文献一覧はこちらからどうぞ。

参考文献
羽標本を作る上で、羽の事や野鳥の事を調べる事は欠かせません。私が日頃から大変参考させていただいている文献やサイトを紹介しますね。

 

コメント

  1. ごいさぎ より:

    初めまして。
    関西で羽収集をしている者です。

    先日フクロウの羽を拾ったのですが、こちらのサイトのフクロウとはかなり異なる雰囲気がして比べてみたところ、斑の数や地の色など、かなり異なるように感じました。
    僕の持っているフクロウは奈良で拾得したものなので、亜種キュウシュウフクロウに当たるようなのですが、こちらに慣れてしまっていたのですごくいい機会になりました。
    ありがとうございます。

    僕もブログを書いていて、そこにフクロウの羽も載せているのでよろしければご覧ください。
    http://blog.livedoor.jp/feathers_1729/archives/10228294.html

    • 管理人 より:

      ごいさぎさん、コメントありがとうございます。
      返信遅れてごめんなさい。

      ブログ拝見しました。
      当サイトには無いコレクションをお持ちで羨ましいです。
      特にヒタキ科は身近で大好きな類なのですが、あまり拾うチャンスに恵まれていません。
      (何故かシロハラは良く拾います。ごいさぎさんと同じ状況の様で可笑しかったです。)

      フクロウの亜種はあまり気にしていなかったのですが、ごいさぎさんのキュウシュウフクロウは、確かに雰囲気が違いますね。
      当サイトのフクロウは秋田で回収されたものなので、亜種フクロウかと思われます。
      図鑑(新版 日本の野鳥)で調べたところ、南の亜種(キュシュウフクロウ)ほど色が濃く、北の亜種(フクロウ)ほど色が薄くなる傾向の様で、いわゆるグロージャーの法則に当てはまりそうです。

      私の地元、神奈川ではミヤマフクロウとキュウシュウフクロウが重なる地域の様です。
      換羽で拾った羽がいくつかあるので、比較すると面白そうです。

    • 管理人 より:

      ごいさぎ雑記帳を参考サイトにリンクさせて頂きました。
      https://skgfeather.com/bibliography/#toc8

      お互い羽収集を楽しんで続けられるといいですね♪

  2. ごいさぎ より:

    返信と参考サイトへのリンクありがとうございます。

    亜種フクロウなんですね。雰囲気で異なることは分かっても、模様から亜種を識別するのは難しそうだと思いました。僕はキュウシュウフクロウしか拾ったことがないのですが、亜種が重なる地域での比較は面白そうですね。

    最後になりましたが、僕のブログにもSKG様のリンクをさせていただいてもよろしいでしょうか。