今回は、いつもの羽標本とは一風違った視点でお送りします。
標本情報
サンプルNo.1
回収時の状況
巣箱からの回収
採取地
神奈川県相模原市緑区
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鳥の巣の中は一体どうなっているのでしょうか?
泥を固めて作るツバメの巣や、小枝を集めて作るカラスの巣なんてのは身近に見られますよね。
鳥の巣材は種によって様々なのですが、卵が直接乗っかる内側の部分(産座と言います)には鳥の羽が使われていたりします。
これは親鳥の羽を使っているのでは無く、親鳥が他の鳥の羽を探して持ってくるのです。
今回ご紹介する羽標本は、そのようにして巣材として巣箱に運ばれた羽です。
巣箱を管理している方が非繁殖期に清掃の為に取り出しました。
(残念ながら、営巣主は分かっていません。)
全て、一つの巣から取れた羽ですよ。色々な種類がありそうですね。
まずは同じ種であろう羽を、当たりを付けながら一旦仕分けをします。
仕分けをしたら、ぬるま湯と洗剤を使って綺麗に洗浄をしますよ。
管理人は食器洗い用の洗剤を使って洗います。
ドライヤーで乾かした後、形を整えたのがこちらの姿です。
汚れが取れると共に、曲がっていた羽軸や羽弁もあるべき姿に戻りましたね。
汚い羽でも心を込めて洗うと、驚くほど綺麗になるのです。
では、どんな羽が巣材に使われていたのでしょうか。
まずは、大きめの羽から見ていきましょう。
本サイトではお馴染みのヒヨドリとキジバトです。見分け方はここで確認してくださいね。
次はこの赤茶の羽。
これはガビチョウの羽です。
ガビチョウの尾羽は藪の中に潜む為なのか、比較的硬いです。
保温やクッションには向かなそうなのですが、3枚も使用されていました。
お次は小さな羽。
カワラヒワは発色の良い黄色でとっても綺麗です。
メジロは分かり辛いですが、縁の黄緑色で判断できます。
アオジは正直、特徴が乏しくて、もしかしたら違うかも知れません。大きさと形、生息環境から、今回はアオジとしました。
大きなこの体羽はなんだか良く分かりません。
色や大きさからして、ニワトリ?
最後に標本にはしなかった、細かい体羽たちです。
たぶん、キジバトとヒヨドリかなと思います。
今回、分かったものだけでも6種の鳥の羽が使われていました。
親鳥は様々な種類の羽を探してきて子育てに利用しているんですね。
<注意!>繁殖期に鳥の巣を覗いたり、巣や巣材を取得する事は絶対にしないでください。
このような事が許されるのは、繁殖が終わった秋から冬に限ります。
鳥の繁殖を邪魔するような事は絶対にしてはいけません。
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参考ページ
参考文献
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
- 山渓ハンディ図鑑7 新版日本の野鳥、叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄、山と渓谷社
- フィールド図鑑 日本の野鳥 第2版、水谷高英、文一総合出版
当サイトの参考文献一覧はこちらからどうぞ。
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