羽に興味はあるけど、ぶっちゃけ良く分からない。そんな方に向けたシリーズ、「羽の見分け講座ファーストステップ」
第2回目では「羽はテンション上がるものだけ同定すればいい」と言いましたが、今回はそれとは真逆の、体羽(たいう)について、少しだけ触れたいと思います。
イントロダクション
第2回目では、「テンションの上がる羽」はここ。
風切と尾羽だとお伝えしました。(あくまで私見ですよ!)
つまんない羽に用は無いわ。
では、ここ。
胴体の羽はどうでしょう。
ここでは、胴体に生えている羽を総称して体羽(たいう)と呼びます。
結構広いわね。正直聞きたくないんだけど。
大丈夫。細かい部位を特定するような事はしません。
今回はこの体羽について、少しだけ知ってもらう事で、「つまらない羽」を「面白い羽」に変えたいと思います。
だったら聞いてあげるわ。
後羽
コジュケイの羽標本では、珍しく体羽を裏返している事にお気づきでしょうか。
こうしたのには実は理由がありまして、この後羽(こうう)を見て頂きたかったのです。
こんな羽が隠れていたなんて、知らなかったわ。
実は鳥の体羽の多くには、この後羽が生えています。コジュケイを含むキジ目では、この後羽が特に発達しているので、とても分かりやすいのです。
正羽
ちなみに後羽の前面に生えている普通のhは正羽(せいう)と言います。
正羽は体羽だけで無く、風切や尾羽、雨覆も正羽に含まれます。
うちわのような羽弁(うべん)が形成されている羽を、総称して正羽と呼ぶのです。
羽と言えば、だいたいが正羽って事ね。
綿羽と半綿羽
まだまだ行きますよ、「つまらない羽」(笑)。
ちょっと面白くなってきたわよ。
なんだかふわふわしたこれらの羽、綿羽(めんう)と半綿羽(はんめんう)と言います。
はっきりと羽軸があるのが半綿羽で、羽軸が無いのが綿羽です。
体羽の中でも、正羽の内側に隠れて生えています。
なぜ隠れているかというと、主に保温の為の羽だからです。
ふわふわして空気を沢山溜め込む事で、体を暖かく保つ訳ですね。
実はこの綿羽と半綿羽は、その特徴から人間にも多いに活用されています。
一体何でしょうか?
耳かきのふわふわ?
答えはこれです。
そう、寒い冬に大活躍のダウンジャケットです。
軽くて温かいダウンジャケットは、主にガチョウとアヒルの、綿羽と半綿羽を主に使用しているのです。
ダウンジャケットからつんつん出てくる羽、何とかならないかしら。
今度生地からはみ出した羽を見つけた時は、じっくり観察して見てくださいね。
まとめ
今回は「テンションの上がる羽」でない「つまらない羽」の事を、ちょっと勉強することで「面白い羽」に変えるという企画でした。
いかがだったでしょうか。
今度「つまらない羽」を拾うのが楽しみになったわ!
よかったです。
正羽と後羽、半綿羽、綿羽が分かるようになった事で、「つまらない羽」を拾った時でも、興味を持って「羽って面白い!」と思って頂ければ幸いです。
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参考文献
- 鳥類学、フランク・B・ギル、新樹社
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
- BIRDER 289号(2011.2)鳥の形学(P.38)、翼の形と飛び方、文一総合出版
- BIRDER 299号(2011.12)羽の落とし鳥を探せ、特集、文一総合出版
- BIRDER 385号(2019.2)羽毛は語る、特集、文一総合出版
- 動物遺物学の世界にようこそ!、邑井良守・藤井幹・川上和人、里の生き物研究会
- 鳥類標識マニュアル(改訂第 11 版)、山階鳥類研究所 鳥類標識センター
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