【要注意!】アオバトの幼羽はかなり小さくて形が違う。風切で確認

山で仕事中に拾った風切。

 

見慣れないものだったので良く調べたり質問したりした所、どうやらアオバトの幼羽のようでした。

 

アオバト

結論:アオバトの幼羽はアオバトの幼羽はかなり小さく、形が違う

アオバトの幼羽(初列風切)は成鳥の羽と比べて、長さが短く、幅が狭く、羽柄がやや長いという特徴があるようです。

アオバトの初列風切の比較(幼羽vs成鳥羽)

この事実を知らないと全然違う種と勘違いしてしまうので要注意です。

私は最初、カワガラスなんじゃ無いかと思っていました。

 

成鳥の初列風切と大きさを比較

良く観察してみました。

 

全体が濃い灰色で、黒っぽい印象。

横から見ると全体がカーブしていて、上からみると緩やかなカーブ。

先端がナイフのような形状をしていることから初列風切と思われます。

また、欠刻が無く内弁と外弁の幅が同じようなので、内側のもの、P1〜P3のあたりじゃないでしょうか。

アオバト幼羽(初列風切)

 

アオバト幼羽(初列風切)

 

他の(成鳥と思われる)アオバトの初列風切と比較してみると、その違いは歴然です。

アオバトの初列風切の比較(幼羽vs成鳥羽)

 

成鳥羽Aと比較すると、全長は約12mm違いました。率で言うと約11%短いです。

同様に幅は約12mmの差で、約52%も幅が狭い。

幅が半分程度なので全然別の種のような印象を受けます。

 

逆に羽柄は幼羽の方が約2mm長いです。約8%長い。

※1個体での比較なので、数値は目安として取り扱ってください。

 

 

羽図鑑や野鳥図鑑にはなかなか幼羽の情報は載って無いのですが、fetherbaseに幼鳥の羽標本がありましたので引用します。

出典元:featherbase.info(https://www.featherbase.info/jp/species/treron/sieboldii)を元に編集

 

この標本個体は面白い事にP1が成鳥羽で、P2より外側が幼羽のようです。

その違いが良くわかる標本です。

(幼羽と成鳥羽が混在しているのに、伸長中の羽が無いというのも興味深いです。)

https://www.featherbase.info/jp/species/treron/sieboldii

 

縁がうっすらと黄緑色なのが特徴

今度は色を観察してみましょう。

一様に濃い灰色のようなのですが、背景色を変えてみると様子が変わります。

アオバトの初列風切の比較(幼羽vs成鳥羽)

 

先端の縁(羽縁)を良く見ると、うっすらと黄緑色なのがわかります。

これは幼羽、成鳥羽問わず、アオバト全体に共通する特徴のようです。

 

 

 

アオバトの羽標本についてはこちらで詳しく書いていますので、良かったらどうぞ。

【羽標本】アオバト
食痕のアオバトの羽から羽標本を作りました。標本の羽と生体写真でアオバトの羽の見分け方など記載。一見分かりづらい風切もよく観察すると特徴があることがわかります。近縁種のハト(ドバト、キジバト)との見分け方では尾羽を使って説明しました。

 

羽を調べる図鑑はこちらの2冊がおすすめです。

 

 

それぞれのブックレビューはこちらをどうぞ。

【ブックレビュー】原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版/叶内拓哉・高田勝
日本を代表する羽図鑑のブックレビューです。掲載写真は全て撮り直し。掲載種は29種増え281種。拾いやすい普通種はもとより、いわゆる珍鳥もカバーし羽単体でじっくり観察が可能です。原寸大写真なので羽を図鑑の上に置くだけで識別できる、とても強力なツールです。

 

【ブックレビュー】羽根識別マニュアル【羽図鑑:藤井幹 文一総合出版】
待望の羽図鑑がリリースされましたのでブックレビューします。著者は羽業界の権威、藤井幹さんです。前著、動物遺物学の世界へようこそが、絶版になって久しく、入手がかなり困難な状況です。本書は、そんな前著の続編というか、強力にバージョンアップした羽図鑑となっています。

 

 

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コメント

  1. 伊豆川哲也 より:

    教えてください、「先端がナイフのような形状をしていることから初列風切」とのことですが、どういうナイフの形を意味しているのですか?日本刀?アーミーナイフ?料理包丁?