前回は拾ったカルガモの翼を完全に解体して、洗浄する所までやりました。今回はで最後で、羽を乾かし、部位を特定します。
再乾燥
綺麗に洗った羽は、タオルで軽く水気を拭き取ってあと、ヘアドライヤーで乾かします。
温風で風量MAXです。高温にさらすと羽に悪そうな感じがしますが、特に痛むという事はありません。
ドライヤーでは完全に乾燥させず、半乾き位にしておきます。
洗浄とドライヤーの風で羽弁がバラバラになっているので、それを指を使って形を整えていきます。鳥になった気分で羽繕いをしていくと、バラバラになった羽弁は一枚の板の様に元通りにくっついていきます。
目には見えませんが、羽弁を構成する羽枝(うし)には鉤爪が付いていて、マジックテープの様に隣の羽枝にくっつくのです。すごい!
形が整ったら1日ほど自然乾燥させます。
ちなみに、形を整える作業を飛ばして自然乾燥させると、羽に変な癖がついてしまうので、綺麗な羽にしたければ、この作業は絶対飛ばさないように。
ちなみに、今回の作業の中で、洗浄と乾燥の工程は、鳥のフィールドサイン観察ガイドを参考にしています。
この本にはこの他に羽の保存の仕方やデジタル標本の方法なども書かれているので、これから羽の収集を始めようという方にお勧めします。
部位の特定
本当なら翼から羽を抜く際、慎重に部位を特定しながら抜きたかったのですが、今回はその様な余裕が無く、羽達は買ってきたジグソーパズルの様にバラバラです。
そのバラバラの羽を部位を特定していきます。まずは風切とそれ以外を仕分けます。やり方は以下の記事を参考にして下さい。
風切は、初列風切が10枚と、次列風切が3枚ありました。その他の羽としては、初列雨覆、大雨覆、下雨覆などでした。
風切の順番は原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版やfeatherbaseを参考にして推定しますが、実はこの風切の順番にはある程度法則がある事が経験的に分かってきたので、別の機会に記事にします。
さて、部位と順番が分かったので、とりあえず並べてみます。
嗚呼感無量。
一見すると拾う気にもならない、埃まみれでアリのたかった翼でも、丹精込めて処理してあげればこんなに綺麗な姿になるんです。
今回は「標本にする前処理」というのが題目でしたので、これにて終了です。
この様な羽を台紙に貼って羽標本にしていく作業は、別の機会に記事にしますので、楽しみにしていて下さい。
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参考文献
- 鳥のフィールドサイン観察ガイド、箕輪義隆、文一総合出版
- 原寸大写真図鑑 羽 増補改訂版、叶内拓哉・高田勝、文一総合出版
- 野鳥の羽ハンドブック、高田勝・叶内拓哉、文一総合出版
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